戯れ歌     序にかえて


 
  
 
    私の身体に風が渡る。 私の身体に水が湧く。              
  
    湧いて溜まって溢れて流れて、
    流れ流れて、水よお前は何処へ行く?
 
    流れ流れて、あの懐かしい海へと行くのです。

 
   武と舞、或いは耕す事と祈る事と踊る事と戦う事、
    それらが混沌の裡の未分化な玄氣である状態まで遡行し、実相に迫ってから、それから、
    あの雲のあたりへ死にたいと、そう思うのです。


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    ハチのムサシは死んだけれど、出来る事なら今更ながら、恥を忘れて飛び出して、
    文文、武文、文文、舞文、せめて一刺し舞ってから、眠るように生きて死にたいと、
    今、盲目の秋をすぎ、もうろくの春に、思うのです。


 
   年をとる それは己の青春を 歳月の中で組織することだ

    今だから云える訳ではありません、
    99.9%は仮説である人生を、その時その場の成り行くママに、イチかバチかで流されながら、
    しかし嗚呼、嘘ついてでも理屈は通せよと、意地張って生きてきて、この今ここで思うのは、
    あの時あの場のアレコレは、ロシアンルーレットではあった訳ですと、そういう事でございます。

       
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    武道峠の東へ三里、山間いの小さな蚕飼いの村に生まれ、山羊の乳飲み桑の実食べて、
    峠の茶屋で昨日見かけたあの人は、宮本武蔵かブルース・リーか、力道山かドン・キホーテか、
    邪宗の人か北一輝、毒消し売りか行商人、角兵衛獅子か踊り子か、サーカス小屋は高い梁、
    ゆあーん、ゆよーん、ゆやゆよん、旅のつばくろ悲しかないか、いえいえあれは俳優ワザオギ、
    渋谷なる街に現れた、オイディプースなるギリシアの亡霊。

    荒野から呼ばわる声が聞こえたわけではないけれど、
    葦舟に乗せて流した初恋のお雛様が恋しくて、川の流れに漕ぎ出し行かん、
    流れに棹さし情を追い、角をたてては知を磨けども、思えば遠し故郷の空、
    熊にまたがりお馬の稽古、お椀の舟に箸の櫂。

    時の河 氣の舟に乗り 流れ生きなむ

    あまりに遠しフランスに行きて帰らぬ空手家に、箱根の山で逢ったのは、せめて新しき背広着て、
    気ままなる旅に出た汽車の中、上海帰りの麗人と、水色の窓の向こうのなお遠く、
    山の彼方の雲の事、静かに熱く語りつつ、石版に刻まれた言葉をくだされた、
    昨日の夢は今日の夢。

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    大江戸TOKIOに漂着すれば、喘息患うニコチン中毒、輪廻転生、隔世遺伝、
    瞬くうちに武道は葡萄、酒とバラの日々ならぬヤケと茨の日々なのは、
    あんたのセガレだオッカサン時々オトンだチンドン屋、
    バッカス・ディオニューソスにたぶらかされて、罰当たりにも高歌放吟、体当たりでの無知蒙昧、
    宵越しの金は持たないカブキ者、OH EDO DANCE! SHALL WE DANCE?

    外堀越えればヨー 教会が見えるヨー  あれは上智のヨー ギリ研の舞台ヨー
    イエスとマリアにヨー オイディプースを見せればヨー  神父慌ててヨー 説教たれるヨー
    神父嘆くなヨー 神様は死んだヨー  今は俺達ヨー サチュロイの時代ヨー
    歌えサチュロイヨー 踊れ火を囲み  今日は祭りだヨー ディオニューソスのヨー

    うそぶきつつも酒すら飲めず、午睡から醒めた牧神の、野にニンフ追う程の度胸もなく、
    ひたすら葉隠、老荘気どり、芸術至上主義とか云う痩せ我慢、演劇とは死んだ振りと見つけたり、
    谷神は田園に死せず、浅草公園秋の夕暮れ、霊性木馬は旋回し、山の手線も永劫回帰、
    なべて万物は流転して、かくて悲劇は誕生し、しかりしこうして超人は目をまわす。

    体育会系ギリシア悲劇研究会のシゴキと日々、カロスカガキア、イカルスは堕ち、
    パンタはレイでパンダは上野、アンタ変だよ、ヘン、パンタ、
    カラスカーと啼いて、メディアは子殺し、オイディプースは親殺し、
    ジョーン・バエズは棺桶から歌い出し、ローズマリーは墓石にまたがってお産する、
    天国を追っ払われたヨッパライはアポロンの地獄で嘔吐して、
    満員電車のプロメテウスは遅刻シテスミマセンと号泣する、
    プロレタリアートってどんなアート?
    毒杯あおるソクラテスの弁明、自ら惑う若者は、自己ヒテイと造反ユリイカ、ナゼ?
    カラス啼いたか夜明けは来たか、身捨つる程の祖国はありや。

    夜が明けたら一番早い汽車に乗るからと、訛り懐かし停車場を夜な夜な彷徨うディオゲネス、
    冬の銀河の河原者、花咲き花散る東京は賽の河原の八百八町、渡った人は帰らない、
    そこにはタダ風が吹いているだけ、ビッコの犬がクシャミしながら歩いているだけ、クォバディス?
    待てど暮らせどゴドーさん、昨日も今日も留守なんて、笑ってアバヨと気どってみせて、
    男命の純情は、一人で唐傘さして行く。

     
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    いろいろお世話になりました いろいろお世話になりましたねえ
    こんなに良いお天気の日にお別れしてゆくのかと思うとほんとに辛い
    こんなに良いお天気の日に
    あなたはそんなにパラソルを振る 僕にはあんまり眩しいのです
    僕は何を云ってるのでしょう
    いいえ僕とて文明人らしく もっと他の話も すれば出来た
    いいえ やっぱり 出来ません出来ません

    風が立ち 波が騒ぎ 無限のまへに腕を振る

    不来方の お城の草に寝転びて 空に吸われし十五の心

    思えば遠く来たもんだ?
    出来る事ならもう一度、三千世界のカラスを殺し、
    十五の春の蒼天の、深みに沈む純金の、亀と朝寝がしてみたい。

    夜咲くアザミのみる夢は 眠れぬ夜にみる夢は 大空を行く天の巡礼
    氷のような白馬に乗って 大空を行く天の人

    深く眠るために世界はあり 眠りの深さが世界の意味だ

    昨日のように明日のように、今朝に目覚めた金の亀、玲瓏の空イッパイに手を広げ、
    足をのばして首つきだして、鶴になったか龍になったか、
    いえいえあれは白い雲、ぽっかり浮かんだ白い雲、
    愛しい殿御の心のうちは雲に聞くしかないとはいえど、
    せめて路傍の石ころを、お地蔵さんに叩きつけ、坊主頭をかち割って、のぞいてみたい色即是空、
    諸行無常は世の常で、帰りなんいざ故里へ、田園まさに荒れなんとす、かどうかは知らないが、

    ああ、あのときのこと、あのときのこと、僕は何でも思い出します。

      
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    干された飯櫃がよく乾き 裏庭に 烏が呑気に啼いていた 
    
    山の上には雲が流れていた

    山の上に寝て 空をみるのも 此処にいて あの山をみるのも 所詮は同じ 動くな 動くな

    そうは云っても誰だって、
    そして明日の今頃は 長の年月見馴れてる 故郷の土をば見ているのです

    わが知らぬ とほきとほきとほき深みにて 青空は 白い雲を呼ぶ
    心をつくし身をつくし、あのあたりへ死にたいと、誰だって、そう思う雲。

    そう、雲は天才であるのです。



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           汚れつちまつた悲しみに   コロノスのオイディプース    ラ・マンチャの男  

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